外装の光触媒塗料とは?使用するメリットとデメリットを紹介

投稿日:2024.10.22 / 更新日:2024.10.22 外壁塗装
   
外装の光触媒塗料とは?使用するメリットとデメリットを紹介

外装の光触媒塗料は紫外線を利用して汚れを分解し、雨で洗い流す画期的な塗料です。外壁の美観を長きにわたって維持し、メンテナンス頻度を減らす効果があります。

しかし、高いコストや施工の難しさなどのデメリットがあるため、選ぶ際は慎重に検討しなければなりません。

この記事では、光触媒塗料の特徴や費用、メリット、デメリット、向いている人、施工時の注意点について解説します。外装塗装を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。

外装における光触媒塗料とは?

壁の塗装

外装における光触媒塗料とは、酸化チタンを主成分とする革新的な塗料です。

特徴は太陽光(紫外線)に反応して外壁に付着した汚れを分解し、雨水で洗い流すことです。一般的な塗料と比べると、外壁の美観を長きにわたって維持できます。

また、光触媒塗料は外壁を保護するだけではなく、セルフクリーニング機能や空気清浄効果も備えています。定期的な外壁清掃の手間を軽減し、住環境における質の向上が可能です。

ただし、効果を最大限に発揮するには、適切な施工技術と環境条件が必要になります。

費用相場

光触媒塗料を使用した外装塗装の費用相場は一般的な塗料と比べると高めに設定されており、塗装単価は1㎡あたり3,500〜5,500円前後です。

通常のシリコン塗料の約1.5倍の価格帯で、30坪の一般的な住宅の場合、足場設置費用も含めると工事総額は90〜140万円程度になります。

コストが高くなる背景としては、光触媒塗料自体の価格や専門的な施工技術が必要になる点が挙げられます。

ただし、耐久性や維持管理の容易さを考慮すると、必ずしも割高とはいえません。

耐用年数

光触媒塗料の耐用年数は一般的な塗料と比べると長めです。

通常のシリコン塗料が約10年程度の耐久性なのに対して、光触媒塗料は最長で約15〜20年の耐久性があるとされています。

この長い耐用年数は、光触媒塗料が紫外線を利用して塗膜の劣化を抑制する仕組みによるものです。

ただし、この数値はあくまで理想的な条件下での目安であり、実際の耐用年数は建物の立地や気候条件、メンテナンス状況などによって変動します。

また、外壁材自体の劣化は防げないため、外壁の状態に応じて適切な時期に再塗装や外装リフォームを検討しなければなりません。

光触媒塗料のメリット

メリット

ここでは、光触媒塗料のメリットについて解説します。

セルフクリーニング機能

光触媒塗料のメリットは、外壁の美観維持に大きく貢献するセルフクリーニング機能です。

塗料に含まれる酸化チタンが太陽光(紫外線)に反応すると、外壁に付着した有機物質の汚れを分解し、その後の雨によって洗い流されます。

これにより、従来必要だった定期的な外壁洗浄の頻度を大幅に減らせます。ただし、すべての汚れに対して効果があるわけではなく、無機物質の汚れや極端に多量の汚れは落とせません。

それでも、一般的な環境下では外壁の美観を長期間維持できます。したがって、多くの家主にとっては魅力的なメリットといえるでしょう。

外壁用塗料トップクラスの耐久性

光触媒塗料は、外壁用塗料のなかでもトップクラスの耐久性を誇ります。一般的なシリコン塗料が約10年の耐久性なのに対して、光触媒塗料は最長で約15〜20年の耐久性があるとされています。

優れた耐久性は、光触媒塗料が紫外線を利用して塗膜の劣化を抑制する仕組みによるものです。塗膜の劣化を遅らせることで、長期間にわたって外壁を保護し美観を維持できます。

ただし、この耐久性は理想的な条件下での数値です。実際の耐用年数は建物の立地や気候条件、メンテナンス状況などによって変動します。

とはいえ、他の塗料と比べると高い耐久性を持っている点は事実です。長期的な視点で外壁保護を考える際には、大きなメリットとなるでしょう。

空気の清浄効果

光触媒塗料のメリットは空気清浄効果をもっている点です。光触媒作用によって生成される活性酸素が、大気中の有害物質を分解します。

具体的には、窒素酸化物や硫黄酸化物などの大気汚染物質を無害化する仕組みです。

一般的な戸建て住宅に光触媒塗料を施工すると、テニスコート4面分の緑地が持つ空気清浄能力に匹敵するとされています。

これは、約12台の自動車が1日に排出する排気ガスを浄化する能力に相当します。

このように光触媒塗料は、単に外壁を保護するだけでなく、周辺環境の改善にも貢献する環境配慮型の塗料です。ただし、効果は塗装面積や周辺環境によって変動するため過度な期待は禁物です。

光触媒塗料のデメリット

デメリット

ここでは、光触媒塗料のデメリットについて解説します。

色の選択肢が少ない

光触媒塗料のデメリットのひとつに、色の選択肢が限られている点が挙げられます。この制限は、光触媒塗料の主成分である酸化チタンの特性によるものです。

酸化チタンは本来白色であるため、光触媒塗料は全体的に白っぽい色調になりやすく、濃い色や鮮やかな色を表現するのが難しくなります。そのため、外壁のデザインや色彩計画に制約が生じるでしょう。

例えば、モダンな印象を与える黒や紺、温かみのある深い赤などの色の選択は困難です。そのため、外観デザインにこだわりたい家主にとっては大きな制限となります。

ただし、白系の色を好む人やシンプルな外観を望む人にとっては、メリットとなる可能性もあります。

施工難易度が高い

光触媒塗料の施工は一般的な塗料と比べて難易度が高いです。

光触媒塗料は粘度が低く、水のようにサラサラとしているため、塗装時に垂れやすい特徴があります。これにより、均一な塗膜を形成するには高度な技術と経験が必要です。

また、乾燥時間が他の塗料よりも長いため、施工時の天候や気温などの環境条件にも注意を払う必要があります。さらに光触媒の効果を最大限に発揮させるには、適切な膜厚で塗装しなければなりません。

これらの要因により、施工には専門的な知識と技術を持った業者の選定が不可欠です。結果、施工コストの上昇につながる可能性があります。

ひび割れに弱い

光触媒塗料は、ひび割れに弱いというデメリットがあります。この弱点は、光触媒塗料の塗膜が一般的な塗料よりも硬くなる特性によるものです。

塗膜が硬いと、建物の微小な動きや温度変化による収縮・膨張に対して追従しにくくなり、結果としてひび割れが生じやすくなります。

特に建物の継ぎ目部分や窓枠周りなど、動きの大きい箇所でこの問題が顕著に現れる可能性が高いです。

ひび割れは美観を損なうだけでなく、水分が侵入し外壁の劣化を加速させる原因にもなりかねません。

光触媒塗料を使用する際は建物の構造や立地条件を十分に考慮し、必要に応じて下地処理や補強を行うなどの対策が求められます。

対応できない汚れがある

光触媒塗料のセルフクリーニング機能は優秀ですが、すべての汚れに対して効果があるわけではありません。特に無機質の汚れや強固な汚れには対応できないケースがほとんどです。

例えば、サビや火山灰、黄砂などの無機物質の汚れは、光触媒の作用では分解できません。また、鳥の糞や樹液などの粘着性の高い有機物質も、量が多い場合は完全な分解と除去が難しいでしょう。

さらに長期間放置された汚れや、日光が当たりにくい場所の汚れにも効果が限定的になります。光触媒塗料を使用したとしても、定期的な点検や必要に応じた清掃は避けられません。

立地によっては効果が発揮されない

光触媒塗料の効果は建物の立地条件によって大きく左右されます。塗料の特性上、十分な日光と雨水が必要となるため、条件が満たされない環境では十分な効果が発揮されません。

例えば、隣接する建物との間隔が狭い場合や日陰になりやすい北側の壁面では、光触媒反応に必要な紫外線が十分に当たらず、セルフクリーニング効果が減少します。

また、軒下など雨が当たりにくい場所では、分解された汚れが洗い流されずに残ってしまいます。

さらに海岸沿いの潮風にさらされる環境や、工場地帯など大気汚染が激しい地域では、塗膜の劣化が早まる可能性もあります。

このように、立地条件によっては光触媒塗料のメリットを十分に活かせないケースがあります。施工を検討する際は、自宅の環境を慎重に評価してから依頼するようにしましょう。

光触媒塗料が向いている人

壁の塗装

ここでは、外装に光触媒塗料の利用が向いている人について解説します。

外装の掃除頻度を減らしたい人

光触媒塗料は、外装の掃除頻度を減らしたい人におすすめです。塗料のセルフクリーニング機能により、従来必要だった定期的な外壁洗浄の回数を大幅に減らせます。

特に仕事や家事で忙しく、外壁のメンテナンスに時間を割くことが難しい人や、高所作業が困難な高齢者にとっては大きなメリットといえるでしょう。

ただし、光触媒塗料を使用しても掃除が完全に不要になるわけではありません。鳥の糞や樹液など、強固な汚れは手作業での除去が必要になる場合があり、定期的な点検も欠かせません。

それでも、通常の塗料と比べると清掃頻度が大幅に減るのは事実です。日々の住宅管理の負担を軽減したい人にとっては、魅力的な選択肢となるでしょう。

日当たりが良い場所に住んでいる人

光触媒塗料は、日当たりの良い場所に住んでいる人に最適です。塗料の効果は紫外線に反応して発揮されるため、十分な日射量がある環境では最大限の性能を発揮します。

例えば、周囲に高い建物がなく一日中太陽光が当たる住宅や、南向きの広い壁面を持つ建物などが理想的です。

このような条件下では光触媒の作用による汚れの分解効果が高まり、セルフクリーニング機能が効果的に働きます。

また、十分な日射量は塗膜の耐久性向上にも影響し、長期間にわたって外壁を保護します。ただし、過度な日射は塗膜の劣化を早める可能性もあるため、定期的な点検は必要です。

日当たりの良い立地を活かし、光触媒塗料のメリットを最大限に引き出せれば、美しく清潔な外観を維持できるでしょう。

白系のカラーで塗装がしたい人

光触媒塗料は、白系のカラーで外装を塗装したい人に最適です。塗料の主成分である酸化チタンは本来白色であるため、白や淡い色調の表現に優れています。

白系の外装は清潔感があり、建物全体に明るい印象を与えるため多くの人に好まれやすいカラーです。

また、光触媒の効果を最大限に発揮するためには酸化チタンの含有量を多くする必要があるため、結果として白っぽい色調になりやすくなります。

さらに白系の外装は太陽光を反射しやすいため、建物内部の温度上昇を抑える効果もあります。

光触媒塗料を施す際の注意点

エクスクラメーションマーク

ここでは、光触媒塗料を施す際の注意点について解説します。

高額なコストがかかる

光触媒塗料を使用する際の注意点は、高額なコストがかかることです。

一般的な塗料と比べると単価は約1.5倍高くなります。具体的には、1㎡あたり3,500〜5,500円前後の費用がかかり、30坪の一般的な住宅の場合、工事総額は90〜140万円程度になります。

ただし、長期的な視点で見ると、耐久性の高さやメンテナンス頻度の少なさからトータルコストでは低くなる可能性もあります。

予算計画を立てる際は、初期投資だけでなく長期的な維持管理費用も含めて検討しましょう。

外装によっては施工ができない

光触媒塗料は万能ではなく、すべての外装材に適用できるわけではありません。特に注意が必要なのは外壁の素材や状態です。

例えばモルタル外壁の場合、光触媒塗料の硬い塗膜がひび割れに追従できず、かえって劣化を促進させる可能性があります。

また、すでに激しく劣化している外装材に光触媒塗料を施しても、下地の劣化により期待される耐候性が得られない場合があります。

施工前には必ず専門家による外装診断を受け、光触媒塗料の適用可否を確認しましょう。

絶対に汚れないわけではない

光触媒塗料のセルフクリーニング機能は優れていますが、絶対に汚れないわけではありません。

例えば、鳥の糞や樹液など強固な有機物質の汚れ、サビや黄砂などの無機物質の汚れは、光触媒の作用だけでは完全な除去はできません。

また、日光が当たりにくい場所や雨が直接当たらない箇所では、セルフクリーニング効果が十分に発揮されない可能性があります。

そのため、光触媒塗料を使用しても定期的な点検とメンテナンスが必要になります。

まとめ

光触媒塗料は、優れたセルフクリーニング機能と高い耐久性を持つ革新的な外装塗料です。しかし、高いコストや色の選択肢の制限、施工の難しさなど、いくつかの課題も存在します。

検討する際はメリットとデメリットを十分に理解し、自宅の立地条件や予算、優先事項と照らし合わせて判断しましょう。

適切な条件下で使用すれば、長期的には維持管理の手間とコストを削減できる可能性があります。

ただし、外装塗装の選択は住宅の価値に直結する重要な決定です。専門家のアドバイスを受けながら、慎重に検討する必要があります。

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