サイディングは現代の外壁の主流となっており、さまざまな建物に使用されています。しかし、同じサイディングでも種類によって特徴やメンテナンス方法は異なります。
この記事では、サイディングの基本的な情報から種類別の特徴、メリット・デメリット、修繕を検討すべき状態について解説します。
サイディングの選び方や維持管理に悩んでいる方は、ぜひ最後までご覧ください。
サイディングは、建物の外壁を仕上げるために必要な板状の材料です。日本の新築戸建て住宅の約80%で採用されており、現在最も一般的な外壁材といえます。
特徴は、モルタルやタイルと比べて施工が容易で工期が短く、初期費用が抑えられる点です。また、デザインや色のバリエーションが豊富で、さまざまな建物のスタイルに対応できます。
サイディングは素材によって窯業系、金属系、木質系、樹脂系の4種類に大きく分類され、それぞれに異なる特徴があります。
ここでは、外壁に使用するサイディングの種類について解説します。
窯業系サイディングは、セメントと繊維質を混合して製造された外壁材で、日本の新築戸建て住宅の約70%で採用されています。
耐久性や防火性に優れている、デザインやカラーバリエーションが豊富、比較的低コスト、軽量で施工性が良好な点などが特徴です。
一方で、経年劣化による色褪せやチョーキング現象(表面が粉状になる現象)が起こりやすい点がデメリットとして挙げられます。
金属系サイディングは、主にガルバリウム鋼板などの金属を素材とした外壁材です。
特徴は軽量な点で、窯業系サイディングの約1/4の重さしかありません。そのため、建物への負担が少なく耐震性に優れており、耐久性や防水性も高いため寒冷地での使用にも最適です。
デザイン面では、金属特有のシャープな印象を活かしたモダンな外観を実現できます。しかし、デザインの種類は窯業系に比べると少なく、海沿いでは塩害による劣化に注意が必要です。
木質系サイディングは、天然木を加工して作られた外壁材です。
特徴は、木材ならではの温かみのある質感と風合いです。和風からモダンまで幅広い建築様式に対応可能で、高級感のある外観を演出できます。
また、環境に優しい素材としても注目されています。
しかし、耐久性や耐火性は他のサイディングに比べて劣り、紫外線や雨風による劣化にも弱いため、定期的なメンテナンスが必要な点がデメリットとなります。
さらに、他の外壁材と比べて価格が高い点にも注意が必要です。
樹脂系サイディングは、塩化ビニル樹脂を主原料とした外壁材です。北米では広く普及していますが、日本ではまだ比較的新しい選択肢です。
特徴は、耐久性と軽量性を兼ね備えていることです。塩害や凍害に強いため、寒冷地や海沿いの地域でも安心して使用できます。
また、色褪せしにくく長期にわたって美しさを保てます。メンテナンス性も高く、塗り替えの必要がない点もメリットです。
しかし、日本では取り扱っているメーカーが少なく、デザインの選択肢が限られています。
ここでは、サイディングの主なデザインについて解説します。
木目調サイディングは、天然木の風合いや質感を再現したデザインです。和風住宅からモダン住宅まで幅広い建築様式に対応可能で、温かみのある外観を演出できます。
色合いは明るい色から濃い色まで豊富なバリエーションがあり、好みや建物のイメージに合わせて選択できます。
また、木目の細かさや節の有無なども選べるため、より本物の木材に近い表情の演出も可能です。
タイル調サイディングは、本物のタイルを貼ったような外観を実現できるデザインです。タイルの質感や目地の表現まで精密に再現されており、高級感のある仕上がりが特徴です。
色や柄のバリエーションが豊富で、洋風住宅やモダン住宅によく合います。また、タイルの大きさや配置パターンを変えることで、さまざまな表情を作り出せるのが魅力です。
個性的な外観デザインとの相性がよいサイディングといえるでしょう。
石積調サイディングは、天然石を積み上げたような質感と風合いを再現したデザインです。重厚感のある外観を演出でき、洋風住宅や和モダン住宅によく合います。
色合いは明るい色から暗い色まで幅広く選択可能で、建物のイメージに合わせてコーディネートできます。石の大きさや積み方のパターンも豊富なため、個性的な外観デザインを実現できるでしょう。
塗り壁調サイディングは、漆喰や珪藻土などの塗り壁の質感を再現したデザインです。シンプルでありながら味わいのある外観を演出でき、和風住宅からモダン住宅まで幅広く対応できます。
色合いは白を基調としたものから、淡い色合いのものまで選択が可能です。また、表面の凹凸や質感もさまざまなバリエーションがあり、本物の塗り壁に近い仕上がりを実現できます。
レンガ調サイディングは、本物のレンガを積み上げたような質感と風合いを再現したデザインです。クラシカルでレトロな雰囲気やモダンな印象を演出できるため、さまざまな建築様式に対応できます。
色合いは赤レンガから白レンガまで幅広く選択でき、建物のイメージに合わせてコーディネート可能です。レンガの大きさや積み方のパターンもさまざまで、個性的な外観デザインを実現できます。
ここでは、外壁にサイディングを用いるメリットについて解説します。
サイディングのメリットはコストの安さです。モルタルやタイルなど他の外壁材と比較すると、材料費と工事費は抑えられます。
特に窯業系サイディングや金属系サイディングは、工場で大量生産されるため材料費が安く、施工も比較的簡単なため工事費も抑えられます。
また、軽量なため建物への負担が少なく、基礎工事のコストを削減できる可能性が高いです。加えて耐久性も高いため、長期的に見ても経済的です。
サイディングは、初期費用を抑えたい方やコストパフォーマンスを重視する方にとって魅力的といえるでしょう。
サイディングのメリットは、デザインやカラーのバリエーションが豊富なことです。木目調、タイル調、石積調、塗り壁調、レンガ調など、さまざまなデザインが用意されています。
また、カラーも豊富で、落ち着いた色合いから鮮やかな色まで幅広く揃っています。さらに複数のデザインやカラーを組み合わせることで、より個性的な外観の創出が可能です。
サイディングは豊富な選択肢により、自分好みの外観を実現しやすくなります。
サイディングのメリットは、施工期間の短さです。
工場で生産された既製品を現場で取り付けるため、モルタルやタイルなど他の外壁材と比べて施工が簡単で早くなります。
特に乾式工法で施工する場合は天候に左右されにくいため、工期の遅延リスクも低いです。また、軽量なため作業効率も良く、大規模な足場や特殊な機械も必要ありません。
このような特性により、サイディングは工期を大幅に短縮できるほか、住人の負担や工事による周辺への影響を最小限に抑えられます。
サイディングのメリットは、優れた防火性と耐久性です。特に窯業系サイディングと金属系サイディングは高い防火性能を持ち、火災の延焼を防ぐ効果があります。
耐久性も高く、適切なメンテナンスを行えば20年以上使用できます。耐衝撃性や耐候性にも優れているため、風雨や紫外線による劣化にも強く、長期にわたって美しい外観を保てるでしょう。
また、金属系サイディングは耐震性に優れているため、地震の多い日本の建物に適しています。
ここでは、外壁にサイディングを用いるデメリットについて解説します。
サイディングは豊富なデザインやカラーバリエーションがある一方、既製品を使用するため完全なオリジナルデザインの実現は難しいという点がデメリットです。
特に近年では多くの建物でサイディングが使用されているため、個性的な外観を求める場合には物足りなさを感じる可能性があります。
また、素材自体が安価なため、左官職人が丁寧に仕上げる塗り壁や高級感のあるタイル張りなどと比べると、独特の質感や味わいを出すのが難しい面もあります。
サイディングは、他の外壁材と比較して定期的なメンテナンスが必要です。特に窯業系サイディングは、約10年程度で塗装やコーキングの劣化が進むため、再塗装や補修が欠かせません。
また、金属系サイディングも表面塗装の劣化や腐食の可能性があるため、定期的な点検と補修が求められます。
メンテナンスを怠ると外観の劣化だけでなく、防水性能の低下や建物本体への悪影響も懸念されます。
サイディングは板状の材料を組み合わせて施工するため、つなぎ目が生じます。特に窯業系サイディングや金属系サイディングでは目立ちやすく、外観の美しさを損なう可能性があります。
つなぎ目にはコーキング(シーリング)処理が必要ですが、コーキング部分が経年劣化により目立つケースもあります。
塗り壁やタイル張りなど、一体感のある仕上がりを求める場合は、つなぎ目がデメリットになるでしょう。
サイディング自体には防水性能がないため、適切な防水処理が不可欠です。特に窯業系サイディングは吸水性があるため、雨水が浸入すると膨張や変形の原因になります。
そのため、サイディングの施工時には防水シートの設置や適切なコーキング処理が必要です。
経年劣化により防水処理が劣化すると、雨漏りのリスクが高まります。定期的な点検と必要に応じた補修を行わないと、建物本体に深刻なダメージを与える可能性があるため注意しましょう。
ここでは、修繕を検討すべきサイディングの状態について解説します。
色褪せは、サイディング外壁の劣化症状のひとつです。紫外線や風雨の影響により、徐々に外壁の色が薄くなっていく現象を指します。
特に南向きや西向きの外壁は日光の影響を受けやすく、色褪せが早く進行する傾向があります。
軽度の色褪せであれば洗浄で改善できる場合もありますが、進行した色褪せの場合は再塗装を検討しなければなりません。
チョーキングは、サイディングの表面を手で触ると白い粉が付着する現象です。外壁塗料に含まれる顔料が紫外線などの影響で劣化し、粉状になって表面に浮き出てくることで起こります。
チョーキングが進行すると、外壁の色褪せや防水性能の低下につながります。軽度のチョーキングであれば洗浄で改善できる場合もありますが、進行したチョーキングの場合は再塗装が必要です。
コーキングの劣化は、サイディングの耐久性に大きな影響を与える要因の一つです。
コーキングはサイディングの継ぎ目を埋め、雨水の侵入を防ぐ重要な役割を果たしています。劣化は通常、施工後5〜10年程度で起こり始めます。
定期的な点検を行い、劣化が見られた場合は速やかに打ち替えや補修を行いましょう。
サイディングのひび割れは、建物の安全性に関わる重要な問題です。ひび割れは地震や建物の揺れ、温度変化による膨張収縮などが原因で発生します。
小さなひび割れであっても、そこから雨水が侵入し、サイディングの内部や建物本体に悪影響を及ぼす可能性があります。
サイディングボードの浮きは、サイディングと下地との接着が不良になり、隙間ができている状態です。経年劣化や施工不良、建物の構造的な問題などが原因で発生します。
浮きが進行すると、雨水の侵入や断熱性能の低下につながり、最悪の場合はサイディングが剥落する危険性があります。
カビやコケの発生は、サイディング外壁の美観を損なうだけでなく劣化を加速させる要因です。主に、日当たりや風通しが悪く湿気がこもりやすい場所に発生します。
カビやコケは外壁の表面を覆い、塗膜の劣化を促進させるとともに、根が外壁に侵入して損傷を与える可能性があるため注意が必要です。
金属系サイディングにサビが発生した場合、劣化している可能性が高いです。
サビは塗装の劣化や傷により金属が露出し、水分や空気と接触することで発生します。特に海沿いの地域では、塩分を含んだ潮風の影響でサビが発生しやすいため注意が必要です。
サイディングは軽量で衝撃に弱いため、衝突や強風で飛んできた物体などによってへこみが発生する場合があります。特に金属系サイディングは、物理的な衝撃に弱く変形しやすいです。
小さなへこみは専用の補修材料で修復できる場合もありますが、大きなへこみや複数箇所に及ぶ場合はサイディングボードの部分的な交換が必要になるでしょう。
サイディングはコストパフォーマンスの高さやデザインの多様性から、現代の外壁の主流となっています。しかし、特性や維持管理方法を正しく理解しないと、メンテナンスで苦労してしまうでしょう。
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